Murmur...

アラサーといいたくないけど徐々に30の扉が見えてきている女子が好きな音楽を中心にまとまった言葉を語りたいときに語る場所。

ゆずの重大発表を見て感じたこと

最初に断っておきます。

わたしはゆずのファンではありません。

ただ、ひとりの音楽を好きな人間として、あるミュージシャンを追いかけるようにファンをしている身として、他人事とは思えなかったから。自分事のように考えていたら、いろいろ苦しくなってきてしまったから、つらつらと今回の件に関して思ったことを書いてみようと思います。

気分を害する方がいたら、ごめんなさい。

わたしは、「ゆずの音楽」は大好きです。だって、高校時代を岡村で過ごした人間にとっては、「この長い長い下り坂」を何度も下った身としては、青春が詰まっているから。

これだけは大前提として、先に述べておきます。

 

事の発端は、12/17のこの告知から始まったと記憶しています。

http://yuzu-official.com/contents/214294

 

「ゆずからのお知らせ」

いつからでしょうね、タレントやミュージシャンが発表する「○○からのお知らせ」「○○からの重大なお知らせ」という言葉に怯えるようになったのは。

そして、この文言が来るときに、大体は「良いお知らせ」ではないということを察知してしまうようになったのは、どうしてなのでしょう。

そんな疑問を抱いたりするけれど、もう20年以上日本の音楽業界の第一線にいて、ほぼ休まず活動を続けてきた「ゆず」というアーティストがこういう文言を出してくると、身構えてしまうのが受け止める側の性なのだと思います。

 

わたしの周りにも、ゆずっこは何人かいます。

みんな、このお知らせに心がざわついて、落ち着きのない様子でした。

発表まで2日。

良いお知らせのトーンで発表されていたら「なんだろう、楽しみだな〜!」となるところを、なんだか胸騒ぎがしてしまうことばが綴られていたから。このドキドキはなんなんだろうって思ってしまった人もいたんじゃないかなって、なんとか自分を落ち着かせようと、考えないようにしようと思っていた人だっていたんじゃないかなって、思いました。

 

そして2日経ち、12/19 21:00の発表。

結果は、「弾き語りドームツアーの発表」でした。

http://yuzu-official.com/contents/214604

 

なんだ、良いお知らせなんじゃん。

じゃあ「告知がありまーす!」でいいんじゃないの?

情報解禁日の兼ね合いとかもあるんだろうけど、なんで2日前にフライングでああいう文言だけ出したの?

(好きだけど、ライブに行ったり情報を積極的に追いかけるほどではないという意味で)ファンじゃないわたしは、そう思ってしまいました。

 

Abema TVでの配信の中で「どっちかが死ぬまでゆず」みたいな発言をして、「ゆずを一生続けるよ」と言ったような趣旨のことを述べていたのは確認しました。

その決心があるなら、一生ついていく心づもりでいるファンの心をかき乱すようなことはしないほうがいいんじゃないの?

って、わたしはそう思っちゃいました。

 

いろんな事情があるんだと思います。

大きなトピックスを用意するから、話題にしなきゃいけない、とか、反響がほしい、とか、ニュースにしてもらうためにひっかかるネタを仕込まなきゃ、とか。

どちらかというと、このあたりのことはゆずの二人が考えることというよりは、彼らの周りにいる人たちが考えることなのだと思います。

彼らが作品づくり以外の側面(宣伝の仕方など)にどこまで関与しているのかは、わたしにはわかりません。

わからないけれど、彼らがちゃんとファンを大切にしたいと思っていたとしたら、いくらえらい人がこういうネタの仕込み方を提案したとしても、反発してほしかったな、と思いました。

(実際はしたのかもしれません。したけど、だめだったのかもしれない。その真相はファンじゃないのでわからないし、ファンでも今のところはわからないかもしれないな、と思っています)

 

わたしは、「自分の推しで同じことをやられたら?」って、想像してみました。

 

うーん…結構しんどい。

「お知らせ」の見出しを開いて、そこに情報が載っていれば「なーんだ、びっくりさせないでよ」って思えるかもしれないけれど、言葉に振り回され、惑わされたことよりも2日間ずっとそのお知らせに支配されてしまう、考えようと思わなくても気がついたら考えてしまう、その落ち着かなさがメンタルやられる気がしてしまう。

最悪の事態を想像して、ごはんが喉を通らなくなってしまうかもしれない。

せっかくの忘年会シーズン、友達や会社の人から楽しい誘いがあっても、なんだか乗り気がしなくって断ってしまっていたかもしれない。

たった2日って思うかもしれない。

でもおおよそ48時間です。この時間が悩み事に支配されなければできたこと、きっとあったんじゃないかな、って思います。

そんなゆずっこさん、少なからずいるんじゃないでしょうか。

 

「なんだ、良い知らせなんじゃん!悪い冗談言わないでよ!笑」

とすぐに笑って言える人は、そのまま笑顔で彼らを応援し続けてください。

でも、やっぱりわたしは今回の件で少なからず虚無感を感じた人、心が傷ついた人、涙を流した人はいるんじゃないかなって思ってしまう派です。

こんな吊り橋を渡るみたいなやり方で、ファンの心を試さないでほしい。

ユーモアに富んだふざけた歌もあるけれど、純粋なまっすぐな少年のような心をもった曲を、いつまでも歌えるのがゆずなんじゃないかなって、ただのリスナーなりにわたしは感じています。

そんな曲を届けるゆずが、ゆずの周りを取り巻く人が、ゆずの作品や興行を広めるためのキャンペーンが、少なからず誰かの心をざわつかせるようなやり方を今回してきてしまったということ、わたしは悲しいなって思ってしまいました。

 

誰かを喜ばせるためには、誰かを傷つける必要なんてないと思います。

誰かの心に響くものを作って届けるには、誰かの心に爪を立てる必要はないと思います。

「純粋にいいものを作って届ける」

それだけで売れる時代ではもうとっくになくなっているってこと、90年代の幼少期からJ-POPを聴いて育ってたらわかります。

でも、一度マイナスな印象や情報を与えてしまったら、そこから這い上がるのは難しいんです。

いくら彼らのことを好きなファンだって、むしろ好きで愛が大きいからこそ、傷つけられたことを「痛み」として感じた人もいるでしょうし、この感情がちょっとねじ曲がると「裏切られた」って思ってしまう人も、今はいないかもしれないけど、時を経たら出てきたりしてしまうんじゃないかなって、心配事ばっかりしてしまうわたしは考えてしまったりもします。

 

わたしが好きな広告業界のクリエイターの方にさとなおさんという方がいます。

大学時代に存在を知ったこの方。

ここ数年、さとなおさんは「ファンベース」という概念を提唱しています。

 

こんな記事があったりするので、わたしがどう語るよりもご本人のしゃべりを見ていただいたほうがはやいかなと↓

http://asa-shibu.tokyo/2018/02/13/naoyuki-sato/

https://markezine.jp/article/detail/27985

https://ferret-plus.com/9163

 

さとなおさんに怒られてしまうかもしれないぐらい端的にいうと、

「いまの時代、中長期的に売り上げ(支持)を上げていくには、ファンを大切にする施策(ファンベース)が重要だ」

ということ。

広告の世界での話に限らず、企業のブランディングにも重要な要素ですし、わたし個人としてはアーティストが長く息衝くためにも必要なことだと思っています。

 

そういえば、R25に掲載されていたゴールデンボンバーの鬼龍院さんのインタビューはそれの鑑だと思って読んでいました。これ↓

https://r25.jp/article/591215631564227181

 

何事においても、「中長期的にどうするか」という視点を持って仕事をする人は、この考え方を持っていた方が結果的に強いのではないかなと思っています。

 

いまの世の中は、景気が良いって言われていても市民の実感値と乖離があるのではないでしょうか。

娯楽にお金を使う人は、確実に減っています。

そこで、娯楽に使わない人に「使おうよ!」ってダイレクトに訴えかけたって「うるさいなぁ」ってなってしまって終わってしまうんです。

というか、広告の世界でいうと「使おうよ!」っていうメッセージを発するコンタクトポイントにすら、こういう人たちは接しないと思います。

だって、テレビ見ないでしょ?YouTubeの広告飛ばすでしょ?(=「使おうよ!」っていう広告は見ませんよね)

そういうこと。これが現実。

だったらどうするのがいいかって、「いま振り向いてくれてる人を大切にする」、そしてあわよくば「振り向いてくれてる人が他のお客さんに『これいいよ!』って発信してくれて、新しいお客さんを連れてきてもらう」。

これが一番。

さとなおさんはそういうことをおっしゃっているのだと、わたしは「ファンベース」の本を読んで感じました。

 

この施策をやるのは結構な粘り強さと忍耐力が必要だと思います。

だから、あんまりビジネスとして結果が評価されづらいのかもしれないし、だからこそ、めんどくさがって積極的に取り組まない人も多いと思います。(あとは、長い目で見る余裕がないってこともありえるとは思う)

 

だいぶ話が逸れたように見えて、ここで話を主題に戻しますが、「どっちかが死ぬまでゆず」宣言をした彼らは、長い目で見なくてはいけない「商品」だと思います。(いくらレーベルや事務所の売り物だからと言って「人」のことを「商品」というのはあまり好きではない、でもあえて今回は「商品」と言います)

 

イメージを醸成して、ファンと信頼関係を築いて、ファンからもらった栄養(言い方悪いかもしれないけどお金、そして声援)をもとに大きな実をつけ、花を咲かせ、そしてその花を持ってファンの人がさらに他の人に届ける、本人たちも凛と咲き誇ることで新たな人の目に留まるように努力する。

こういうプラスの循環を回していくことが、個人的には一番良い方法なんじゃないかなぁって思います。

 

業界の中にいるわけではないので、「そんなに世の中甘くないんだよ!」と言われたらその通りだとは思います。

でも、どんなにマーケティングをかじっただけだったとしても、机上の空論だと言われたとしても、これだけは言える。

「支持してくれていた人の気持ちにマイナスな印象を与えるようなコンテンツ(ニュース)を提供することに、今後与えるメリットってありますか?わたしは、ないと思います」

メリットあったら、逆に教えてください。わたしにない考え方なので吸収して今後の糧にしようと思います。

 

好きな人を、好きな音楽を、思いがけぬノイズに惑わされず、純粋に応援できたらいいのにな。

純粋に音楽を楽しめたらいいのにな。

わたしはただただそう思います。

ファンでもないのに「わかった感」ある感じで書いてるなと思われた方がいたら、長々と失礼しました。

(むしろそういう人はここまで読まないか。笑)

 

今回の件をただ糾弾したかったわけではないのでさいごにひとことだけ。

 

弾き語りドームツアーの開催、おめでとうございます。

伊勢佐木町の街中で歌っていた人たちが、いまや何万人ものお客さんを前に歌っているということ、純粋にすごいなと思います。

これからも、二人で仲良く、素晴らしい音楽を奏でていってください。

音楽が好きな1リスナーとして、これからも楽しみにしてます。なので、楽しませてくださいね。

 

以上、深夜に1時間で約5000字を書き殴りました。

乱文失礼いたしました。