NIPPONNO ONNAWO UTAU~NakamuraEmiが歌うアラサー女性のリアル~
ロッキング・オン社が行なっていた「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」。
http://ro69.jp/contents/ongaku-bun/
…実は出してたんだなあ、このタイトルで。
でも、ダメでした。
選ばれた人たちの文章と、自分の文章を比べて、なるほどねって。
まだまだだねって。思ったけど。
でも、時間も心も込めて書いた文章、このままにしておくのももったいないなあ、って思ったので、そっと置いておきます。
少し前に書いた、ある意味自分の"決意表明"でもあります。
*
―NIPPONNO ONNAWO UTAU
ローマ字で綴られた『日本の女を歌う』という言葉。
私はなぜかこのフレーズにものすごく引き寄せられた。
「日本の女とは?」頭の中に疑問を抱えながらも、再生ボタンを押す私。
曲の中には“さぁ 働け”と繰り返し歌う女性の姿があった。
彼女の名前は、NakamuraEmi。
自らを「働け」と奮い立たせるシンガー。今までに出会ったことのないタイプだった。
そして、私はすぐさま他の楽曲にも手を伸ばした。
―アラサー女性のリアルを歌う。
NakamuraEmiというシンガーはどんな人?と聞かれ、一番しっくりくる表現はやはりこれかもしれない。
女性シンガーは、世の中に山ほどいる。
女性が書く『恋愛』についての歌は、同性たちの共感を得、世代のカリスマ的存在になっている人もいるぐらいだ。
しかし、女性が書く『恋愛』の歌に出てくる主人公は、ことごとく可憐で一途な女の子。
こちらは、そんな恋愛をするピークは過ぎた20代後半の女子だ。
それなりに傷つく経験もしてきたし、今は恋愛に一喜一憂している暇などない。
仕事だって大事だ。
だからといって仕事ばかりしていると、本当に男性は寄ってこない。
頑張れば頑張るほど、『恋愛』そして『結婚』という文字が遠のく。
「しばらく恋愛はいっか」なんて言っていると、親から投げかけられる「いい人いないの?」の言葉。諦めてなんていないし。全部手に入れるのは無理なの?
そんな様々な悩みを抱えながら悶々としていた日々に一石を投じてくれたのが、彼女の歌だった。
“たった今から始めればいい あの頂上の旗を握るため”
社会に出て、一つ目の夢が砕けた頃だった私。
だからなおさら、この『YAMABIKO』という曲の歌詞が響いたのだろう。
NakamuraEmi自身も社会人経験があり、今のスタイルで歌い始めたのは30代になってからということを後から知った。
メジャーデビューが決まるまでは、会社員とミュージシャンの二足の草鞋を履いていたそうだ。
そんな経験をもつ人間が歌う先述の歌詞は、「夢を追いかけることに年齢制限なんてないし、いつだって自分次第」、そんなメッセージがあるように感じさせられた。
彼女がこの後に綴る詩の中には、様々な人がもつ『夢』の道が描かれているが、そこには『仕事』の道だけではなく、『家族をもつこと』、『母親になること』という道も見えてくる。
描かれている道ひとつひとつはそこまで大それたものではない。
けれど、この道を信じて突き進んでいくこと。
その強さが全てであると、彼女は歌っている。
“頂上を目の前に引き返さねばならぬのなら
それも勇気だ 涙を拭って
何度でもまだ登って前を向け!!“
この歌詞に背中を押され、私は新たな山(=夢)の頂上を目指す決意をした。
まだまだ道の途中だし、何度となく挫けそうになったこともあるけれど、今日ここにこうやって文章を綴る決心ができたのも、この歌詞のおかげだ。
『女性として生きる夢』だって、まだ諦めていない。
―メジャーデビューしてもNakamuraEmiはNakamuraEmi。
私が彼女の音楽を追いかけるようになってから、彼女を取り巻く環境はめくるめく勢いで変わっていった。
一番大きなことはメジャーデビューをしたことであろう。
それでも彼女は変わらず、『NIPPONNO ONNAWO UTAU』シンガーであり続けている。
未発表曲『メジャーデビュー』では、メジャーデビューをしてからの自身の心情を赤裸々に綴っている。
「NakamuraEmi、メジャーデビューして変わったなって言われるかもしれないけれど、私は今の私が見たこと、思ったことをこれからも素直に曲にする。いろんなことが見えて、聞こえてしまう時代だけど、負けないぞ」
そんな奮起をしている姿が、歌の中から垣間見られる。
『YAMABIKO』に出てくる頂上を目指す主人公は、実はNakamuraEmi自身なのかもしれない。
“OhOhOhOh 己の山道を OhOhOhOh 己の叫びを
OhOhOhOh 己の山びこで OhOhOhOh 己の心に響け“
自分の心に響く詩を。
自分の心に嘘をつかず、等身大で書いた詩を、自分の身体へ刻み込んだリズムで歌う。
そんな究極に自分と向き合ったうえで紡がれる詩だからこそ、社会の荒波のなかで少し疲れてしまったアラサー女子たちの胸に突き刺さるのであろう。
女子だからって、夢を諦めなくてもいい。
頂上を目指すのだって、今からでも遅くない。
むしろ、ある程度社会を知った今だからこそできることもあるのではないだろうか。
そんな期待すら抱かせてくれる。
『NIPPONNO ONNAWO UTAU』 NakamuraEmiは、きっとこれからも、自身のリアルな生き様を見せながらもアラサー女子たちに勇気と希望を与えてくれる、そんな歌を歌い続けるのだ。